頬鎧盃 福岡県 2021~
古賀の人気シリーズ《頰鎧盃(ほおよろいはい)》は、その名の通り、顎先から頰までをすっぽりと覆う鎧を模しており、酒を啜る際には、鎧を着けたような姿になるユニークな酒器。 モチーフとなっているのは、戦国武将が身に着けたとされる、個性豊かで奇抜なデザインの「変わり兜」と呼ばれる防具である。戦場で命を掛けつつも、そこで固有の美をも競い合った彼らの生き様に、古賀か感銘を受けたことが制作のきっかけとなっている。 SNSの発達によって、誰もが発言力を持ち得る時代となった現代を、古賀は下克上の時代だと言う。、「時代を切り開く意思と覚悟があれば、出自に関係なくのし上がることができる。」古賀は、《頬鎧盃》を制作することで、現代の志高い武将たちへとエールを送りつづけている。 本作品は伝説的な戦国武将代である上杉謙信をテーマとしている。「越後の龍」という異名からインスピレーションを得た、威嚇するような龍の口元が特徴的。「甲斐の虎」の異名をもつ、武田信玄をモチーフとした作品と対になっている。 白、紫、藍の色合いによって、頂に雪を保つ富士山を表現。 白は磁器の地の色、青から紫に至る部分は、艶出しの透明な釉薬をかけることで変色する、コバルト系の釉薬を使用している。そのため、紫はマット、藍はガラス質という2つの質感・色彩のグラデーションが楽しめる。